漫画 ザ・ファブルの魅力とは・・ネタバレあり

漫画


ザ・ファブル(1) (ヤングマガジンコミックス)

ザ・ファブル 1巻をebookjapanで試し読み

これまで何十人も殺してきた天才殺し屋が1年間殺しを禁じられ一般人として生活するように命じられた。その平和な暮らしを快適に感じつつも、様々なトラブルに巻き込まれてゆく。しかし、圧倒的な戦闘能力で窮地を脱するのだった。

あらすじ(ネタバレあり)

第一話

「クソ!」
毒づきながらエレベーターの下りボタンを連打する二人組の男たち。
かなり焦っている様子だ。

一人が銃を片手に壁から半分顔を出して、周囲をうかがう。
その瞬間に、顔面を銃で打たれて倒れ込む。
もうひとりの男は銃を握りしめながらも、徐々に近づいてくる足音に怯える。

足音がすぐ近くまで来たときにエレベーターがやっと到着した。
威嚇のため数発打ちながら、エレベーターに乗り込む。
ドアが閉まると同時に足音の主が現れる。

黒い服面をかぶった男だ。
覆面の男は黙ってエレベーターを見送った。
エレベーターが下っていく中で、希望を取り戻した男は、逃げ延びると改めて決意する。

1階に到着したエレベーターから出ようとしたときに、男は信じられないものを見る。
覆面の男がすでに待ち伏せしていたのだ。
驚くと同時に首を打たれて倒れ込む。

と、仲間が二人現れて、覆面男を銃撃する。
だが、ふたりとも返り討ちに会い殺される。

仕事を終えた覆面男は止まっていた車に乗り込む。
車には運転手役の女性が待機していた。

後部座席に座り覆面を脱いだ男はテレビをつけるように指示する。
走る車の中で、お笑い番組を見て大爆笑する男。
5人も殺した後で笑っている男に女は呆れている。

その後二人は組織のボスと食事をする。
そこで報酬を受け取りつつ新たな司令を受ける。
これまで殺しすぎたので、1年ほど休業する。

二人で大阪に行き、一般人として暮らすことになったのだ。
もちろん殺しは厳禁。

第二話

ボスから新しい名前と身分証明書(もちろん偽造)を受け取る。
殺し屋の男は『佐藤明』、運転手役だった女は『佐藤洋子』。
二人は兄妹という設定だ。

二人は車で大阪に向かう。
高速道路のサービスエリアでコーヒーを買いに行く洋子。
佐藤明はベンチで座って待っていると。
車上荒らしの二人組が現れる。

佐藤明は二人組の行動をベンチから観察している。
その視線に気づいた二人は因縁をつけてくる。

財布を脅し取ろうと触れた瞬間。
佐藤明は二人を音もなく倒してしまう。

どんな相手でも6秒以内に倒せるように訓練されているのだ。
だから、反射的に倒してしまったのだが。
一般人として1年間平和に暮らすことは、かなり難しいようだ。

「ザ・ファブル」の魅力

殺さない殺し屋という設定

この「ザ・ファブル」は最初の1話目から目を離せなくなる。
激しい戦闘シーンから物語が始まり、やくざ者と思われる男たちを次々に殺してゆく。
そこで見せる驚異の身体能力と圧倒的な殺しのスキル。

今後はどんな暗殺を実行するのか。
数ページ読んだだけでも期待が高まってしまう。
ところが・・・である。

なんと、ボスから休業を命じられてしまう。
1年間は殺しをせずに一般人として暮らせと言われる。
いきなり期待を裏切られたと同時に、別の興味をそそられる。

任務を実行するために誰かになりすましてターゲットに近づくのではなく、素のままで一般人の生活をするのだ。
天才的な殺し屋は普通の生活を楽しめるのだろうか。

主人公『佐藤明』のキャラ

主人公『佐藤明』は殺し屋なのに普段は殺気も緊張感もない。
それどころか、どこか抜けていてぼんやりしているのだ。

争いごとはできるだけ避けて、力を誇示することもない。
殺人鬼のように精神的におかしくなっている訳でもない。
常識に欠けるところもあるが、優しく、協調的だ。
そして、平和な生活を愛している。

それでも、一旦スイッチが入ると、神業のような戦闘能力を発揮する。
そのギャップが彼の魅力になっている。

日常生活をリアルに表現

殺し屋である主人公にとっては平凡な日常が貴重な経験なのだ。
だから、日常生活を丁寧に、そしてリアルに描いている。

アルバイトの面接シーンや買い物、食事も細かく表現している。
アルバイトでは意外な才能を発揮して昇給したりもする。
バイト先の社長や行きつけのバーのマスターなど、脇役たちの設定も手抜きなくしっかりしている。

どこにでもあるような日常を描きつつ、非日常的な陰謀や暗殺が組み込まれている。
そして、日常のシーンをリアルに描くことによって、暴力や戦闘のシーンがよりリアルに臨場感があふれてくる。

感想

佐藤明も魅力的な主人公なのだが、脇役たちも個性的で愛着が湧く。

自分の街を愛するがゆえに佐藤明を危惧する若頭。
佐藤明たちを子供のように感じてしまう組長。
戦いを目撃して主人公に憧れ弟子入りする組員クロ。
実際にいそうなバイト先のタコ社長。
ちょと抜けている元グラドルの岬。
謎だらけの殺し屋組織ファブルのボス。

誰もが主役級のキャラである。
そして、超人的な戦闘力とスキルを持つ主人公。
彼らに巻き起こる数々の事件。
展開が楽しみになる漫画である。

単行本は22巻で第一部が完結した。
第一部では天才的な殺し屋がそのスキルを発揮しつつも普通の生活に馴染んでゆく物語だった。
2021年7月からは第二部の連載が開始した。
第二部はどんなテーマで進行するのか、興味が尽きない。

ザ・ファブル 1巻をebookjapanで試し読み