老後を安心して暮らしていくためにはどのくらいの貯金が必要なのでしょうか。
メディアでは「2000万円程は必要だ」とか「いや、3000万円あったほうがいい」とか言っていますが、それらの数字は現実的ではありません。
統計上の数字
老後資金の必用額としての2000万円にしても、3000万円にしても、その根拠となるのは、
(平均年間支出ー平均年収)✕老後の年数
という計算式から導き出されているからです。
この「平均」というのは統計上は意味があっても、個々人の生活とは無関係の数字なのです。
例えばの話
Aさんは年間で200万円の支出で生活しているとします。
一方Bさんは支出が1000万円だったとします。
で、二人とも年収は300万円とします。
老後の年数を20年として計算するとどうなるでしょうか。
平均年間支出は(200万円+1000万円)/2=600万円
平均年収は300万円
よって、(600万円ー300万円)✕20年=6000万円となり、老後までに必要な貯金は6000万円になります。
でも、Aさんは「収入>支出」なので、貯金はなくても大丈夫です。
Bさんは(1000万円ー300万円)✕20年=14000万円
で、1億4000万円の貯金が必要になります。
というよりも、それ以上の金融資産があるので、年収300万円にもかかわらず1000万円もの支出ができるのでしょう。
ここで計算した6000万円という老後に必要な資金は、Aさんには過剰であり、Bさんには不足ということになります。
平均値である6000万円という必要貯蓄額はAさんにとってもBさんにとっても、彼らの実生活とは無関係な金額です。
自分で計画する
当たり前の話ですが、自分の老後については自分で予測して、貯蓄をしていかなければなりません。
(私の年間支出ー私の年収)✕私の老後年数
が準備すべき貯金額なのでしょう。
ただし、これも正解があるわけではなりません。
老後の年数なんて分かるわけがないのですから。
なので、正解ではなく、自分自身が納得できる目標値を設定したらいかがでしょうか。
例 (簡略化のため税金や社会保険料は考慮していません)
定年 65歳
100歳までの生活に必要な準備
定年後10年・・・75歳までは時給千円で月100時間働く(月額10万円)
年金収入・・・65歳から月12万円
支出額・・・月18万円
とすると、老後資金はいくら必要でしょうか。
老後年数 100歳ー65歳=35年間
老後の総支出額 18万円✕12月✕35年=7560万円
老後の総年金額 12万円✕12月✕35年=5040万円
老後の総給与額 10万円✕12月✕10年=1200万円
必要な老後資金 7560万円ー(5040万円+1200万円)=1320万円
上記の場合は1320万円が必要になりますが、各項目を増減させれば結果も変わります。
例えば、老後資金をゼロにするためには定年後の労働期間を15年に延長して、月額を14万円にする必要があります。
また、想定する寿命を85歳に設定すれば、定年後の労働期間は10年、月額は12万円で老後資金はゼロになります。
このように簡単でもいいので、自分自身の老後資金をシミュレーションしておくと少しは不安の解消になるのではないでしょうか。