宮迫さんたち芸人の方々が反社会的組織へ闇営業を行って騒動になりました。
その後、吉本興業の対応や体質についてがクローズアップされて、吉本興業という会社の方が注目されています。
ただ、税務の仕事をしているぼくは以前に発表された「ある事実」に強い関心を持ちました。
それは、問題の闇営業に参加した芸人さん全員が修正申告をしたということです
所得税の仕組み
修正申告
修正申告とは、当初の確定申告に誤りがあり税額が過小であった場合に、自ら確定申告の修正をすることをいいます。
修正申告をした場合には、差額の税金を納めることはもちろんですが、延滞税も併せて収める必要があります。
事業所得の確定申告
個人の1年間の収入と支出を計算して、その年の所得税額を算出するのが確定申告です。
確定申告は自己申告なのです。
自分で税額を計算して、税務署に申告して、税金を納めます。
これを申告課税方式といいます。
これに対して、自動車税等は役所が税額を計算します。
これは賦課課税方式といいます。
申告課税方式では、ミスや所得隠しがどうしても発生してしまうんです。
それを防ぐために、不定期に税務調査が行われています。
また、その他にも正確に申告ができるように様々な制度が設けられています。
支払調書とは
芸能人の場合は基本的に給料ではなく報酬をもらいます。
個人事業主である芸能人に報酬を支払う芸能プロダクション等は、所得税を天引きしてして支払います。
報酬金額が100万円以下の部分は10.21%、100万円を超える部分は20.42%の所得税を天引きします。
そして、支払調書を芸能人に渡すのです。
支払調書は給料明細に似たような形式になっていて、総支給額や天引きされた所得税額が記載されています。
この支払調書を1年分集計すれば、年間の収入や天引きされた所得税が分かります。
また、支払った側は一定額以上の場合は税務署にも同じ支払調書を提出します。
青色申告
青色申告って聞いたことがあると思います。
確定申告の基礎となる帳簿をきちんと作成して一定期間保存することで、青色申告をすることができるのです。
青色申告によって様々な税務上の特典を受けることができます。
要するに、税金が安くなる可能性が高くなるんです。
ぼくの実務上の経験から言うと、事業所得で毎年確定申告をする人はほぼ全員が青色申告です。
芸能人の確定申告
一般の個人事業主、例えば、個人経営の雑貨屋さん等の場合は帳簿から集計をします。
きちんと帳簿をつけていれば、売上を間違えることはほとんどありません。
ましてや、芸能人の場合は帳簿と支払調書で確認ができるので、更に間違える可能性は低くなるんです。
今回は闇営業に参加した芸人10人以上が全員修正申告をしました。
これは当初の確定申告においてこの収入を計上していなかったということです。
全員がたまたま収入を忘れていたとは考えにくいです。
おそらく故意に収入を計上しなかったのではないでしょうか。