鉄道オタクが国会議員になって大活躍!趣味の鉄道を思いっきり楽しむために就職せずフリーターでいたのに。図らずも議員になってしまった。国民のため一生懸命がんばりつつも、鉄道写真を撮ったりいろんな路線に乗車したいのです。
あらすじ(ネタバレあり)
登場人物
仙露鉄男 父親の地盤を引き継ぎフリーターから国会議員へ、大の鉄道オタクで憲政党に所属
内山芳仲 仙露の第一秘書、父の代から秘書を努めている
黒田道久 憲政党の大物議員、仙露が所属する黒田派のトップ
広成真希 民衆党の若手ホープ議員、同期の仙露を意識している
児玉のぞみ 仙露の秘書、高名なジャーナリストを母親に持つ帰国子女、仙露の異母妹らしい
第一話「二つの顔」
国会議員の父親が亡くなったため、仕方なく地盤を引き継ぎ議員になってしまった仙露鉄男。
もともと政治家になるつもりはなく、フリーターとしてコンビニでバイトしながら趣味の鉄道を満喫していたのに・・・
おかげで、あまりやる気のない議員になっていた。
そんなとき、派閥のボスである黒田からある依頼を受ける。
赤字路線の土井中鉄道が廃止か存続かで、その地域がもめている。
そこで、廃止を推進する地元建設業界を支援するようにという内容だ。
鉄道愛好家なのに廃止を支援するのだろうか?
住民集会に出向くと、そこには対立する民衆党の広成議員も参加していた。
彼女は鉄道存続派を支援するためにやってきたのだ。
仙露をライバル視する広成に打ち明けたのは、
土井中鉄道を存続させつつ、廃止派の建設業界を納得させる方法があるというのだ。
鉄道オタクの知識を総動員して住民を納得させることができるのだろうか。
また、廃止派を支援するよう命じた派閥のボスはどう反応するのか。
国会議員と鉄オタという二つの顔を持つ仙露鉄男の登場である。
第二話「敗者復活」
鉄道が趣味の仙露は廃線になった辺吉鉄道を見に来ていた。
そこで偶然、広成議員に出会う。
彼女は限界集落を調査するために辺吉村へ向かう途中だった。
二人は電車のこないホームに佇む老女に気がつく。
どうやら初期の認知症のため、来るはずのない電車をずっと待っているようだ。
仕方なく歩いて辺吉村へ向かった三人。
村に近づくにつれて老女は元気になっていく。
かつて暮らしていた村に着くとますます元気になった。
老女は日本を代表する村松建設の社長の母親だったことが分かる。
社長は建設中のシルバーセンターに母を入居させようと考えていた。
しかし村での元気な様子を見ていた仙露はシルバーセンターではなく、村で暮らすことを提案する。
さらに辺吉鉄道の復活も試みる。
「テツぼん」の見どころ
ギャップの大きさ
フリーターから国会議員へとなってしまったにもかかわらず議員宿舎に入らず、以前と同じ生活水準で暮らしている。
つまり、ザ・一般人が国会議員になったらという視点でも描かれている。
いやいや、元々議員の息子なので一般人ではないとも言えるが、父とは疎遠で、支援を受けずに一人暮らしをしていたという設定だ。
逆に言えば、庶民と同レベルの生活をしていても議員としての仕事はできるだろうという作者のメッセージかも知れない。
そして、その庶民目線から数々の行政上の問題を解決してゆく。
程よいご都合主義
仙露はポストや権力を求めない無欲な政治家である。
父親の急死としがらみのため不本意ながら出馬し当選してしまったのだが、次回の選挙では落選して元の生活に戻りたいと願っている。
そんな奇特な議員のためか大物たちから気に入られている。
政財界に影響力を持つ華僑の大物や高名な国際コンサルタント、大企業の社長たちだ。
何か問題があると彼らが助けてくれる。
かなり都合がいいように思われる。
このあたりは「サラリーマン金太郎」に近い感じがする。
ただ、本人がそれを誇示したりしないので、ある程度の説得力がある。
わかりやすい政治漫画
国会議員て実際はどんな仕事をしているのか。
そんな疑問に答えてくれます。
地域の諸問題を解決するために講演会を行ったり、同じ政党の候補者の応援演説に行ったり、支援団体をフォローしたりと様々だ。
その中で、利権が絡んだり、政党間の競争があったりする。
かなり単純化しているものの、実際の政治家もこれに近い活動をしていると推測できる。
作中では一年生議員から中堅議員へとなってゆく過程で、仕事も変化する。
感想
漫画の主人公は何らかの必殺技を持っている。
「テツぼん」の場合は鉄道の知識と人脈だ。
これらを使って行政問題を解決してゆく。
採り上げている課題も様々だ。
老人介護や保育園不足のような身近なものから、鉄道システムの輸出や海外投資ファンドによる日本企業の買収等まである。
それらを上記の必殺技でサクッと解決してしまう。
その爽快感がこの漫画の魅力なのだろう。